肺炎と認知症 [日々の雑感 5]


肺炎と認知症


 新聞を読んでいたら、こういう状況になった時、家族はどうしたらいいのか?と、考えさせられる記事があった。

 八十代の高齢の母親を介護する女性の切実な気持ちが書かれた記事だったが、この母親には認知症があり、それでもいつもは穏やかな母親だということである。

 母親は、二つの病院にかかっていて、一つは普通の一般総合病院、もう一つは認知症治療のための精神科病院である。

 そして、この母親が、高齢者によくある肺炎にかかった。

 女性は、躊躇なくいつもかかりつけの一般総合病院へ母親を連れて行った。そこの内科医の診断では、やはり入院が必要とのこと。女性は、母親を車椅子にのせて入院病棟へと入った。

 途端に、これまでは病院で診察を受ける時も穏やかだった母親が、いきなり、「こんなところにはいたくない!家へ帰る!」と、騒ぎ出したのだという。

 医師や看護師たちが点滴をしようにも暴れ方がひどくて手がつけられない。

 女性は、それでも母親を病院に頼んで自宅へ帰ろうとしたそうであるが、すぐに病院から携帯に連絡が入り、「とても当院では引き受けられないので、お母さんを引き取ってもらいたい」と、いう。

 母親の暴れがひど過ぎて、看護師たちが七人がかりで押さえつけようとしたところ今度は大声で泣き出すしまつで、同室の患者たちを別室へ移さなくてはならなくなったというのである。

 女性は、仕方なく、今度はこれもかかりつけの精神科病院へ母親を連れて行こうと連絡をしたところ、入院は出来るが肺炎の治療は専門の医師がいないので無理だと言われてしまった。

 女性は、「それじゃ、認知症で肺炎の患者は、死ねということですか!?」と、電話に出た医師を怒鳴りつけたという話である。

 まあ、この母親は、その後幸運にもすべてをケアしてくれる医師と巡り合って、助けてもらったようであるが、確かに、認知症患者を受け入れる病院側にも難しさはあるだろう。

 暴れる患者をベッドへ無理やり縛り付ければ、家族から虐待だと言われ、だからといって、他の入院患者への迷惑を黙認している訳にもいかない。

 治療をしようにも手足をばたつかせられては無理であるし、では、精神科病院に内科の医師を置いて欲しいといっても、この医師不足の世の中に、そう簡単に見付かるものではない。コスト面の問題もある。

 もちろん、この母親の肺炎も自宅で治療出来ればいいのだろうが、重症度によって無理な場合もあるだろう。

 これは、本当に人ごとではない問題で、これからはこういう認知症患者がますます増えることと思われる。

 暴れる認知症患者の扱いをどうしたらいいのか、患者の暮らす環境を極力変えることなく治療に当たるにはどうすればいいのか、より手厚い在宅診療のあり方を模索しなければならない時期に来たように思われる。

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