迷惑な犬 Ⅱ [日々の雑感 5]


迷 惑 な 犬 Ⅱ


 また引き続き、怒りを覚える「犬」の話です。
    
 もう一度言いますが、わたしは、犬は大好きです。

 でも、ここに取り上げる犬は、本当に腹の立ついわゆる「過保護犬」なのです。愛犬家にとって、自分の飼い犬は誰しも可愛いものです。

 そういう人の中には、我が子以上の愛情を飼い犬に注いでいる人もおられるでしょう。しかし、そういう人も、だからといって、本心から自分が飼い犬よりも位が下だと思っておられる人はいないと思います。そこはやはり、人間と犬の一線はきっちりと引いておられるはずですよね。

 犬が飼い主の意志に反する行動をとれば、もちろん叱るでしょうし、それ以前に、他人の迷惑になる行動を愛犬がしないように、常のマナーとして気を付けているものです。

 ところが、稀に、そういうことなど全くお構いなしの非常識飼い主がいるのです。

 わたしは、現在のような病気になる前は、毎日欠かさず三キロほどの距離のウォーキングをしていました。

 そのウォーキングの途中では、頻繁に、飼い犬の散歩をする人たちと擦れ違います。

 ほとんどの飼い主たちは、ちゃんと愛犬のリードを短めに持ち、わたしとも挨拶を交わしながら、自らも午後の散歩を楽しんでおられます。が、そんな中、必ず会う六十代の小太りの女性がいたのです。女性は、いつも三匹の小型犬を引き連れて、散歩をしているのですが、その手に握られているリードは、かなり長めにしてあり、道の端を歩いている人の足元にまで、犬たちがまとわりつくほどでした。

 わたしも、その女性が犬の散歩をするところへ運悪く遭遇した時は、なるべく遠回りをして犬を避けていたのですが、そんなある時、その女性は、これまで以上にリードを長くして犬たちの散歩をしており、そんな飼い犬の一匹が、案の定わたしの足に飛びついて来たのです。

 咄嗟によけようとしたのですが、犬は単にじゃれつくだけではなく、わたしの履いているジーパンの裾に噛みついたのです。わたしは、思わず犬を放そうと、足を振りますと、何とその女性は、犬のリードを引くでもなく、ただ笑いながら、「あら、やだ、そんなものに噛みついて。何やってんのよ。そんなのおいしくないじゃない」などと、まったく動揺する気配もなく、平然としているのです。

 腹が立ったわたしは、今度は思いっきり足を蹴り上げるように振ると、流石に犬も振り離されて、噛みつくのを諦めました。

 そこで、つい、「リードをもう少し、短く持ったらどうですか!?それに、一度に三匹も散歩させるのなら、もっと注意して犬を見ていて下さいよ。歯が足まで届かなかったからよかったものの、直に噛みつかれていたら、保健所へ通報するところですよ!」と、キレました。

 ところが、女性は、わたしに謝るどころか、「大袈裟だよ。こんな小さな犬が噛み付いたって、怪我なんかしないよ」----そう言うと、顔を真っ赤にして逆ギレし、さっさと犬たちを連れて行ってしまったのです。

 こんなとんでもない飼い主です。犬たちがした糞の処理などもする筈がありません。アスファルトの道路の上でやらせっ放しで、行ってしまうのですから、実に最低の人間です。

 そのことがあってから、わたしは、ウォーキングのコースを変えました。

 本当に癪(しゃく)に障りましたが、またあのバカ飼い主に出くわすことを思えば、仕方ありません。他人よりも飼い犬の方が大事で、犬のやりたい放題にさせている飼い主が、本当に、愛犬家といえるのでしょうか?

 その後、やはり誰かの足に噛みついたその犬たちの一匹が、噛みついた相手の人に激しく蹴り飛ばされて、大変な目に遭ったという、噂を耳にしました。それから、その女性が犬を連れて散歩をする姿を、誰も見ていません。

    

    






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