迷惑な犬 Ⅲ [日々の雑感 6]


迷 惑 な 犬 Ⅲ


 またまた、「犬」ネタで恐縮です。<(_ _)>

 我が家のお隣の家には、「ジョン」という名前の中型の雑種のオス犬がいます。この犬の名前は最初二つあり、近所の人たちは、「ジョン」と呼ぶ人もいれば、「ムク」とっ呼ぶ人もいましたが、最近は「ジョン」で、統一されたようです。(犬も戸惑っていたようですが、賢い犬で、どちらで呼ばれても、一応返事をしていました。)

 この「ジョン」は、生後間もなくお隣へ貰われて来たのですが、とにかく利口な犬で、一言でいうなら、まるで、哲学者のようなタイプの実に出来の良い犬なのです。毎日、ほとんど吠えることがありません。吠える時は、救急車のサイレンが聞こえる時と、たまに、近所の友達らしき犬が遠吠えをするのに返事をするぐらいなもので、常に自分の家の軒先の定位置に座って、じっと、世の中の成り行きを眺めています。

 ある日、わたしが買い物から帰ると、その「ジョン」が、何故か道路の下の方を、食い入るように見詰めています。思わず、

 「どうしたの?何かあった?」

 と、訊きますと、彼はわたしの顔を見てから、いいから見てみなよとでもいうように、もう一度先の方角へ首を巡らしました。わたしが、そちらへ歩いて行ってみますと、そこでは、救急車が病人を運び出しているところでした。「ジョン」は、如何にも気の毒そうな顔付きで、心配そうにそちらを見続けているのす。

 わたしが、そうかそうかと、頭をなでますと、

 「しょうがねェなァ、うっとうしいけど、撫でられてやるか・・・・」

 と、いった調子で、されるがままになっていました。

 ところが、このような利口な犬がいる一方で、近くにはとんでもない犬もいるのです。

 わたしは、まだ、今のような病気になる以前は、毎日のように近所を散歩を兼ねて、ウォーキングしていました。その道筋に、物凄い豪邸が一軒あり、その家は、広い庭の玄関側に一匹、家の裏側に一匹、犬を飼っているのですが、玄関側の犬が、とてつもなく大きいオスのシェパード犬なのです。このシェパードがものすごく凶暴で、獰猛犬(どうもうけん)を絵にかいたような、恐ろしい犬なのです。

 飼い主でさえ手に余る様子で、どんなに躾けようとしても聞きはしません。

 近所の人はおろか、その家の前を通る人全員に向かって、足音が聞こえると同時に、狂ったような激しい吠え方をするのです。それも、延々と・・・・。

 番犬といえば聞こえはいいですが、そのあまりに激しい吠え方に、子供たちは泣き出し、お年寄りは驚いたショックで、その場へ転んでしまった人さえもいます。

 わたしも、初めのうちは、心の準備が出来ていなかったせいもあり、突然吠えられて、心臓が止まりそうになりました。

 あまりに癪に障ったので、ある日、そのシェパードの目をこれでもかというほどに睨みつけてやりました。そして、奴が目をそらすまで根気よく睨み続けたところ、奴は、わたしに対しては、それから姿が見えると、急に大人しくなり、尻尾を下げるようになったのです。

 「勝った!」----と、思い、ざまァみろと、心の中で高笑いをしながらも、何で犬如きにこんな馬鹿げた勝負を挑まなくてはならないのかと、実にアホらしくもありました。

 ところが、この犬の呆れた行動は、これで終わらなかったのです。そんな時、飼い主の女性が珍しくシェパードを、無謀にも散歩に連れ出したのです。

 自分の体以上もある大きな犬をリードで引っ張るのですから、やはり不安はあったのか、その犬の口は、何と、荒縄できつく何重にもくくられていたのです。つまり、散歩に出たら人に噛みつく可能性があるという、実際、それほどに獰猛な犬だったという訳です。

 飼い主の女性は、必死でリードを握っていましたが、犬の力には到底かなうことなく、引きずられるような格好で、歩いていました。と、そこへ運悪く、近所のお婆さんが通りかかったところ、犬はそちらへ向かって飛びかかる体勢を作り、いきなり後ろ足で立ち上がったのです。

 「何すんだ!バカ犬!」

 お婆さんは、持っていたこうもり傘で、必死に抵抗。何とかそこから逃げ出すことが出来ました。すると、今度は、犬は何を思ったのか、走って来た自動車に向かって飛びかかり、思いきり自動車のボンネットに弾き飛ばされてしまったのです。

 しかし、それでも懲りずに、犬は、また、自動車に吠えかかります。

 「その犬、どけろ!轢き殺すぞ!」

 ドライバーが叫びます。もはやリードを引く女性の手に負えるものではありません。近くの家の男性たちも駆け付けて、やっとのことでその場を収めました。

 こんな光景を目の当たりにしていたわたしは、もう何だか情けなくなってしまいました。こんな風に育てられてしまったシェパードも気の毒ですし、もっと何とか躾けられなかったのかと、腹立たしくもありました。

 お隣の雑種の「ジョン」と、この血統書付のシェパード-----同じ犬なのに、この違いは何なんでしょう?

 今は、まだ、このシェパードが人に噛みついたというような噂は聞きませんが、いずれ、そんな事態が起きるのではないかと、不安でなりません。  


    
    


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