突っ込んで来た軽トラ [日々の雑感 5]


突っ込んで来た軽トラ[車(RV)]



    少し前のこと、共同浴場から外へ出たわたしの右手方向から、一台のワゴン車が走って来た。

    わたしは、そのワゴン車をやり過ごして道を渡ろうとした。

    ワゴン車は、しばらく走って左折し、その時、左方向からまっすぐ道路を上がって来た軽トラックが目に入った。

    軽トラックは、ゆっくりとした徐行運転で、ウインカーを右へ倒し、今しがた通ったワゴン車と同じ方向へ走って行くものと、わたしは思っていたので、道路を横断しようとしたのだ。

    ところが、その軽トラックは、いったい何を思ったのか、突然、方向指示器の点滅を解除し、アクセルを踏んだのだ。

    運転席には、七十代ぐらいのつば付きの帽子をかぶった男性がおり、まっすぐわたしの方を見詰めている。

    彼の目には、明らかにわたしの姿は判っていたはずなのだ。

    にもかかわらず、スピードを緩めるどころか、ますます加速して、こちらへ向かって突っ込んで来た。
    
    わたしは、どういうことか判らずに、慌てて道路を渡り切り、その軽トラックを間一髪のところでやり過ごした。

    この様子を見ていた近くの商店のご主人や、中学生なども、呆れた顔つきで、

    「何なんだ、あれ!?」「目の前を人が横断しているのに、見えていなかったのか?」

    と、話していた。

    確かに、運転者の男性は、わたしを凝視していた。それなのに、加速するとは、どういう神経だったのだろうか?

    あまり、腹が立ったので、家へ帰ってからその話をすると、父親曰く。

    「高齢になると、間違って方向指示器を出してしまったような時、失敗したと思う気持ちを隠すために、わざと何でもなかったふりをして、スピードを上げる奴がいるんだよ。本人は照れ隠しのつもりなんだろうが、頭の中はほとんどそれだけのことでもパニック状態だから、前方を見ているようでも、実際頭では認識出来ていないことがあるんだ」

    つまり、目はまっすぐこちらを見ていても、彼の目にわたしの姿は確認できていないということだったようである。

    方向指示器を間違えて出したところで、何もそんなに焦ることでもないだろうに、と、わたしたちなどは考えてしまうが、高齢者は、「ああ、あのじいさん、道、間違えてるよ」と、誰かにバカにされているのではないかというあらぬ想像をしてしまい、わざと平静を装うことがあるようなのだ。

    これは、本当に危険なことである。

    父親は、「こんどそんなことがあったら、ナンバーをはっきり見ておけ」と、忠告してくれたが、今回は、運転者の顔を把握することが精いっぱいで、そこまで気が回らなかった。

    とにかく、女性と老人の運転する自動車には、特に注意が必要だということを、改めて認識した。

    女性は、とかく、子供のことや食事の支度、介護のことなどで頭がいっぱいで、前を見ているようで見ていないことがあるそうだが、高齢者もやはり自分のことに気を取られて、頭が真っ白になってしまうことがあるようだ。

    もしかしたら、彼も道を間違えたパニック状態のまま、ブレーキとアクセルを踏み間違えていた可能性もある。

    いずれにしても、恐ろしい話だと思った。[がく~(落胆した顔)]

    

    


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