ご飯は炊けるかい? [不思議な話 2]


ご飯は炊けるかい?


    皆さんは、夢の中で誰かに話しかけられたりすることはありますか?

    それも、忠告とか、警告とか、そういう類の言葉を聞いたことはありますか?それって、案外、これから起きることを暗示していたりすることがあるんですよね。

    ここに書くことは、我が家のご近所の主婦の体験談なのですが、確かに、不思議な出来事なのです。


    
    そのご近所の主婦は40代で、三人の男のお子さんがいる女性です。息子さんたちは、それぞれ高校、中学、小学校と、食べ盛りなものですから、毎日炊くご飯の量も相当なものなのです。

    しかも、一番上のお兄ちゃんは、高校生なのでお弁当持ちです。それも、部活で剣道をやっているので、とにかくお腹が減りますから、お昼のお弁当だけでは足りないため、お弁当はいつも二つ持って行き、二時間目休みの間にも一食食べてしまうのだそうです。

    そんなこともあり、ご主人のお弁当もあわせて、かなりの量のご飯を炊くことがその主婦の仕事でもあり、夕飯の後片付けののち、必ず、電気炊飯器に翌日の分のお米を用意して、タイマーをセットしておくのだそうです。

    ある夏の日の夜、あまりの熱帯夜だったため、その主婦は、いつものように翌日炊くためのお米を炊飯器にセットする時間を、少し遅らせようと思いました。何故なら、あまり早く炊飯器にお米を入れてしまうと、暑さで腐ってしまうような気がしたからなのです。

    そこで主婦は、夜の就寝前に炊飯器をセットしようと考えていたのですが、入浴やらその後のお風呂掃除などをしているうちに、そのことをすっかり忘れて、そのまま布団に入ってしまったのでした。

    そして、その真夜中のこと、主婦の夢の中に、五年前に亡くなった実の母親が現われたのだそうです。その母親は、いつも着ていた白いかっぽう着姿で、主婦の実家の台所の流し台の前に立ち、娘を振り返ってこう言ったのでした。

    「〇〇子、お釜は大丈夫かい?ご飯は炊けるかい?」

    主婦は、どうして母親がこんなことを訊くのか疑問に思いながらも、

    「大丈夫だよ。いつもみたいに、ちゃんとセットしてあるから----」
  
    と、答えたのですが、それでも母親は心配そうに、

    「そうかね?もう一遍、確かめた方がよかないかね?」

    そう言ったところで、主婦は目が覚めたのだそうです。しかし、どうにも、今見た夢が気になって、面倒に思いながらも布団から出て、台所まで行って炊飯器を確かめてみたのですが、なんと、いつものようにお米をといで、セットしておくのを忘れていたことに気が付いたのでした。

    「そうだ!セットしようと思って忘れていた。あのまま、寝てしまったんだ」

    彼女は、慌てて炊飯器を準備すると、ようやく、ほっとして、また床に就いたのだそうです。 

    それにしても、どうして、夢枕に母親が現われて、自分が炊飯器のセットをし忘れていることを教えてくれたのか、本当に不思議な出来事だったと、主婦は話していました。

    彼女の気持ちの中に無意識にセットをし忘れているという思いがあり、それが、母親の声となって聞こえたのかとも思ったそうですが、わたしには、なんだか、そうではないような気がします。

    嫁いだ先で、娘が一生懸命頑張っている姿を、その母親は、たぶん、いつも何処かで見守っていてくれたのではないかと思うのです。そして、ご飯が炊けないと娘が困ることを心配して、つい、声をかけたくなってしまったのではないでしょうか?

    こういう話を聞くにつけても、あの世もこの世も紙一重-----そんな気持ちにさせられるものですね。

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