地デジ不毛地帯 [山ノ内町の風景]


地デジ不毛地帯


    
    少し前の北信ローカルを読んでいたら、気になる記事が目に入った。

    「山ノ内町 地デジ対応の遅れ顕著」

    と、いうタイトル記事である。

    記事によると、山ノ内町は実に全国的にも珍しい全エリアVHF受信世帯の地域なのだそうである。

    つまり、地デジに必要なUHFアンテナ設備と地デジチューナー内蔵テレビなど二重の設備投資をしなければならないため、その金額がネックになっていて、住民が地デジに変えたいという気分にならないためではないかと、関係者は分析している。

    確かに、地デジにしなければテレビが映らなくなるという危機意識は、高齢者世帯になればなるほど薄いと思われる。

    地デジのなんたるかが今一つ把握できないため、「うちは、地デジなんか映らなくても、今までのテレビ番組が観られればいいんだよ」と、考えている人も少なくないだろう。

    つまり、地デジと今のテレビは全くの別物と考えているのではないかと思われる。

    しかも、地デジ導入には高額のお金がかかるとなれば、誰も好きこのんで地デジ対応テレビなど買おうとは思わない。

    町は、総務省信越総合通信局とテレビ放送のNHK、民放各局からの指摘を受け、9月16日から24日までNHK総合テレビのアナログ派で、町内限定の「地デジ切り替えのお願い」を、テレビ画面下に表示することを了承したそうである。

    こんな不思議なスクロール・テロップが流れるのは、おそらく山ノ内町だけなのであろう。

    いわば、ある意味記念すべきテロップといえる。

    また、町でも、VHFアンテナの家庭を戸別訪問をすることで、地デジへの早い対応を呼びかける方針だという。何故なら、雪が降ってしまうと、屋根の積雪が邪魔をしてアンテナの設置作業が出来なくなるからである。

    さらに、地デジ対応の遅れが顕著な理由の一つに、町内には旅館やホテルが多く、こうした宿泊施設の設備投資がバカにならないために、二の足を踏んでいる所が多いのである。

    かつてのバブル期のような観光客の入り込みがあるのならば、地デジ切り替えもスムーズに出来るのだろうが、この不景気で客足が伸びない時期に多額の出費は痛手である。

    テレビ一台5万円の単純計算としても、客室100室の施設では500万円もかかるのだ。ここにアンテナ配線のし直し料などを加えれば、大変な額になってしまう。

    そのため、旅館関係者の中には全室テレビなしとして、その分を宿泊料金の値下げでカバーしようという意見もある。

    若者などは、携帯でワンセグを観ることも出来るので、その方が嬉しいという反応が大方だろうが、温泉旅館の一室で一日ゆっくりと過ごしたいと思うお年寄りたちにとっては、テレビは必需品といっても過言ではない。

    果たして、テレビなしの部屋にお年寄りたちが泊ってくれるかが問題だと、関係者は頭を悩ませている。

    加えて、志賀高原という広大な地域を抱える同町では、ここのアナログテレビ配線をそのままに、地デジをアナログ放送に変換して視聴できる共聴アンテナを丸池と、発哺・高天ヶ原の二か所に設置し、距離のある熊の湯方面にはケーブルを経由し受信させるという計画を進めているらしい。

    山ノ内町のこの地デジ不毛環境をどうするのか?

    来年7月の全面アナログ放送停止までに、冬季の工事が出来ないことを考えれば、移行までの時間はほとんど残されていないのだ。


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