説得するなら食事に誘え [心理の不思議 7]
説得するなら食事に誘え
「日本の未来は料亭で決まる」と、言われるだけ、日本ではいわゆる『料亭政治』が良く行なわれる。
料亭で食事をしながら話をすると、何もしていない状況で相手を説得するよりもずっと自分の意図を判らせることができるというのである。
ものを食べるという行為は、人間をある意味無防備にする訳で、率直な意見を述べ合うことに適した時間であるともいえるのだ。また、物が口の中に入っている時は、あまり自分の考えをまくし立てるわけにはいかない。
必然的に相手の話をよく聞くことができるのである。
そうなると、リラックスした精神状態の下、自分の中にある危機感や懸念が薄らいできて、相手の言い分を認めてもいいという気持ちが生まれるのだそうだ。
アメリカでは、重要な会議はレストランなどの場所を借り切って行なわれる場合もあるといい、飲食の提供者と場所の提供者は仲間である場合が多いため、説得しやすい要件が満たされるという訳である。
これに似たことであるが、『身体接触(ボディータッチ)』を多くしても、相手との信頼関係はより強いものになるという。
日本人は子供の頃は外国人に比べてボディータッチの回数がかなり多いのだが、大人になるにつれてこれをしなくなる。大人がベタベタと身体を触り合うというのは、如何にも変態じみていると思われるからである。
しかし、外国では、むしろ大人になった方が「身体接触」が増えるようで、まずは簡単に握手などから始まるのだが、これにより相手の体温や身体の一部の感触を得ることで、お互いの親密感が増したように感じるのだそうである。
そうなれば、話もしやすくなり、相手の気持ちを思いやる余裕も生まれるのだそうだ。
日本人を対象にした実験でも、ただ顔を合わせて談笑し合うよりも、言葉は一切交わさず目隠しをして握手をしただけのほうが、より相手を身近に感じるという結果が出たという。
握手効果、真に恐るべし----と、言ったところであろう。
もしも、あなたが誰かを説得しなければならないような立場に置かれた場合は、これらの方法を試してみるのも良いかもしれない。